ボルダーオパールについてもっと知りたい方へ、今回は「フルフェイス」と呼ばれるタイプのボルダーオパールについて詳しく説明していきたいと思います。
フルフェイス系ボルダーオパールとは?
ボルダーオパールを大きく分けると4種類、現地では「そのうちの1種類」をボルダーと呼んでいます。
そして、そのボルダーにも2種類あり、そのうちのひとつが「フルフェイス」・「フルフェイス系」と呼ばれるタイプのボルダーオパールになります。
「ボルダーオパール4種類?」
「ボルダーにも2種類?」
「ん??」と思った方は、下の記事もどうぞ。
1. フルフェイス系ボルダーオパールQ&A
それでは、これより本題です。まずは「今までに実際に受けた質問」をもとに「それに対する私の考え」をまとめてみました。
Q. タキさんの目利きに関する記事は読みましたが、目利きする上で「フルフェイス系ボルダーオパールならではのこと」はあるのでしょうか?
A. はい、あります。稀に遊色と遊色が生み出す模様が「まるで絵のように美しい」
ピクチャーストーンと呼ばれるフルフェイス系のボルダーオパールに出会うことがあります。
そんな石には大きな加点を与えるべきだと思っています。例えば下の写真のようなボルダーオパール(8.0ct)です。
<ピクチャーストーン>
異なった色を持つ遊色が生み出す何とも言えない美しさ、まるで絵に描いたような美しさですよね。
オパールの価値を決める上で最も重要な要素である遊色の強さも十分にありますので、ハイグレードと呼ぶに相応しい一品です。
Q. この石で他に加点されるべき点はありますか?
はい、あります。表面に目立ったキズも無く、石に「でこぼこ・へこみ等」もありません。いわゆる状態の良い(マイナス要素が少ない)ハンサムなルースです。
この石のように状態の良い石は現地では「クリーンな石」、「クリーンフェイスを持つ石」と呼ばれ、特にフルフェイス系のボルダーオパールの目利きでは極めて有利に働きます。
Q. フルフェイス系のボルダーオパールを購入する際、タキさんが注意している点はありますか?
はい、あります。リカットして取り除けるマイナス要素であり、そのリカット後の姿が美しいものであれば話は別ですが、
リカットしても取り除けない目立つマイナス要素がある(※例えば石の表面真ん中に大きなクラック等)、または想像するリカット後の姿に魅力が無い
これらの場合、同じボルダーオパールでもマトリックオパールの表面にあるマイナス要素とは訳が違い、石の価値は大きく下がります。
なぜならフルフェイス系ボルダーは、ブラックオパールのように「面全体を覆うオパールの美しさと完璧さ」で勝負する要素が極めて強い石だからです。
現に、良いフルフェイス系のボルダーオパールがあると友人から連絡があった時は、石の大きさや特徴はさておき、クリーンかどうかをまずは最初に尋ねてしまいます。
Q. 裏面とサイドはどう目利きすればよいのですか?
A. これと言って特別なことはなく、他のボルダーオパールと同様の判断の仕方で良いと思います。せっかくですので、上の石の裏面やサイドを一緒に見ていきましょう。
<裏面>
<サイド>
裏面に小穴と研磨の甘い箇所を確認出来ます。きわどいものですが、この程度であれば「許容範囲内のマイナス要素」と考え、価値を大きく下に見積もることはありません。
正規の価値より10%ほど割り引いて考えるだけでけっこうだと思います。
Q. 石の大きさに関してはどうですか?
A. 余程の美しさを持つ石でない限り、他のボルダーオパールと同様、小さすぎる石(3.0ct未満)は過大評価されるべきでは無いと思っております。
なぜなら、カットやリカットしてサイズを落とした1カラット~3カラットの石、カットやリカットしても6カラット前後の重さが残る石
たった数カラットの違いですが、後者の石に出会う方が圧倒的に難しいからです。
出会うのが圧倒的に難しい=すなわち市場に出回っている数が全く違う=レア度が全く異なる⇒数が少ない方が圧倒的に価値がある、となります。
Q. フルフェイス系のボルダーオパールの目利きって難しくないですか?
A. はい、難しいです。母岩の上に遊色層がある(石の面を覆うようにオパールが広がっている) オパールらしいオパールだからでしょうか、フルフェイス系のボルダーオパールが持つ美しさには惑わされやすいです。
対処方法としては、遊色が持つ価値を目利きする力・産出量や市場の流れ云々(うんぬん)はさておき、目利きの基準になる信用出来る石を何個か持っていると、目利きをする際の手助けになると思います。
2. フルフェイス系ボルダーオパールの価値
では実際のところ、上の写真にあるようなグレードの高いボルダーオパールをお金と交換するのであれば、いくらぐらいが妥当な線なのでしょうか?
以下、相場情報(※2022年10月時点)と言っては少し語弊がありますが、購入する際の参考になれば幸いです。
なお、フルフェイス系のボルダーオパールに限らず、グレードの高いボルダーオパールの価格は今後もぐいぐいと上昇を続けるでしょう。
A. ボルダーオパール(7.4ct)
重さ「7.4ct」、サイズは「26mm x 7mm x 3.5mm」、裏面やサイドの状態は許容範囲内、とても美しい遊色を持つ石です。
私であれば、このボルダーで32000円前後(Aクラス)と言ったところです。
B. ボルダーオパール(9.5ct)
重さ「9.5ct」、サイズは「34mm x 9mm x 3.5mm」、画像ではお伝えできていませんが、1個目の石よりもさらに美しい遊色を持つ石です。表面を見る限りは54000円(AAクラス)
<裏面>
ただ、裏面に小穴のような、クラックのような長い溝を確認出来ます。残念ですが、これを「許容範囲内のマイナス要素」と呼ぶことは出来ませんので、ワンランクダウンの43000円での販売です。
C. ボルダーオパール(8.0ct)
前半部分で登場したピクチャーストーンです。
重さは「8.0ct」、サイズは「20mm x 9mm x 4mm」、裏面やサイドの状態は(ぎりぎり)許容範囲内、78000円(AAクラス)での販売です。
D. ボルダーオパール(6.5ct)
重さ「6.5ct」、サイズは「18mm x 7mm x 3.5mm」、裏面やサイドの状態は許容範囲内、78000円(AAクラス)での販売です。
石の大きさは比較的小振りですが、「ジェムカラー」・「赤系統の遊色」・「マルチカラー」、これらが石の価値を高めてくれました。
好みかどうかはさておき、やはり遊色が強い赤系統のマルチカラーは強いです。
E. ボルダーオパール(9.5ct)
<別角度>
重さ「9.5ct」、サイズは「29mm x 7mm x 4.5mm」、裏面やサイドの状態は許容範囲内、美しさをあまりお伝えできていませんが、これまでに紹介してきた石よりも頭ひとつ抜き出た美しさを持つ石です。
遊色は、上で紹介した「8.0ct」の石が持つものと同系統のものですが、遊色層がさらに厚い分、より厚みのある輝きを放っています。
<サイド>
なかなかの厚みですよね。このクラスで90000円(AAAクラス)です。
F. ボルダーオパール(68.5ct)
最後に紹介する石は「43.5mm x 28mm x 4.5mm」、裏面やサイドの状態は許容範囲内、重さ「68.5ct」の大きな美の塊です。
目立つマイナス要素なし、そしてこの「美しさ」と「大きさ」があれば、石の価値はドーンと跳ね上がります。
<別角度>
しかし、よーく表面を見てみると、複数個の小さな割れ(フラクチャー)があります。
「え?たったこれだけで?」と思われる方が多いと思いますが、たったこれだけでも私は値引きます。
正規の価格より25%も値引けば十分にフェアですので、240000円⇒180000円」での販売といったところです。
あとがき
自分でもそう思うように、私の目利きは厳しすぎると指摘されます。
しかし、それが「販売価格<品質」の不等式を自然と作り出し、多くの方に喜んでいただけているのですから、目利きは厳しすぎるぐらいがちょうど良いのです。
最後に話は戻りまして、下のようなボルダーであれば1000円~2000円で購入出来ると思います。目利きの基準になる石として1個持っていても良いのではないでしょうか。
<1000円前後で買えるボルダー>
以上、「フルフェイスのボルダーオパールとは?購入する際の注意点は?」でした。完
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記事公開日 2020年1月19日, 最終更新日 2022年10月23日