今回のテーマは「DIY/自分でやってみよう!第3弾 “オパール原石を磨く”」電動工具を使わずに、カットされたオパールの原石を手磨きで磨き上げていきたいと思います。
目次
研磨する原石はどんなオパール?
いつも通り仕分けの作業を行っていると、不純物の混じりが無いクリーンな遊色層を持つ原石を発見、
今回、手磨きで研磨するオパールの原石は「15.4ct」のダッククリーク産クリスタルオパール、遊色の強さが特徴的な美しいオパールです。
まずは、実物の写真をご覧ください。
<<サイド>>
<<表面>>
<<裏面>>
分かりにくい部分もあると思いますが、遊色層には厚みがあり、クラックなどの目立つキズも外見上は特に見当たりません。
問題は砂、「売りである強い遊色」を犠牲にすることなく、この砂をどこまで器用に遊色層から剥がすことができるか、
仮にそうできたとしても、取り除いた後の面を滑らかな面に仕上げることができるかどうか(でこぼこ・小穴が無い面にできるか)
個人的には、この2つが気になるところです。
みなさんは、一体どんなルースに仕上がると思いますか?
1. 紙やすり120番
それでは、実際に磨いていきたいと思います。まずは、120番の紙やすり(耐水性)を使い、表面を様子見程度に10分間磨いてみました。
※ホームセンターで購入した紙やすり※耐水性(120番~2000番は三共理化学・3000番は日研・サイズ 280mm x 230mm)を6枚(9-10mm x 11.5mm)に裁断して使用しております。
<<#120-1>>
円を描くように磨いたり、直線的に磨いたりすること10分、もう少し簡単に落とせると思っていたのですが、どうやら広範囲に渡り、砂が深々と入り込んでしまっているようです。
※テーブルの上に足ふきマット(100均で購入したタオル生地のような素材)を2枚敷き、摩擦熱で石にクラックが入らないよう、水で濡らしながら作業を行っております。
<<#120-2>>
形を整える作業を含め、表面中心に(同じ番手で)60分磨きました。案の定、砂を取り除くのに時間は掛かっていますが、作業自体は順調に進んでおります。
また、面を覆っていた砂(不純物)の量も減ってきましたので、このタイミングで油性マジックを使い、石に印をつけてみました。
印を付けた場所は「計70分磨いても取り除けなかった砂や穴などがある場所」、
この状態で今までと同じように石を磨き、黒く塗られた部分が消えて無くなっていれば、その部分は確実に磨かれたということになります。
画像右上(茶色い部分)にも印を付けるべきでしたが、それはさておき、このように「目で見て分かるようにして磨くこと」で、作業効率は多かれ少なかれ確実に上昇すると言われています。
<<#120-3>>
磨いて、消えては印をつけ、また磨いてを繰り返すこと45分、作業は順調に進んでおり、紙やすりで石を磨いている時の音・指の感じ具合も「重いジョリジョリ系」から、「軽いショリショリ系」に変わってきました。
音・感触が軽くなってきたということは、すなわち、やすりの目に対する「石の引っ掛かりが弱くなってきた」ということであり、
「次の番手に移るタイミングが近づいてきた」ということになります。
また、音が変わる前と変わった後では「紙やすりの使い込み度」は変化し、音が変わった後では新しいものを積極的に使い、やすりの目が十分に残る状態で石の引っ掛かりを確認します。
この時(新しいやすりに変えて磨くと)、「軽い」が「重い」に戻ってしまう場合(石の引っ掛かりが強くなる場合)は、次の番手のことは忘れ、同じ番手でまだ磨いたほうがよいと思います。
なぜなら、その番手で十分に磨き込まれたから「石の引っ掛かりが弱くなったのではなく」、紙やすりの摩耗が理由で「石の引っ掛かりが弱くなった」とも考えられるからです。
<<#120-4>>
「次の番手に移るかな」と思いながらサイドを中心に磨くこと50分、気になる部分はあるものの、最初の状態と比べると驚くほどハンサムになったと思いませんか?
※ここまでに費やした時間、計2時間45分(165分)
2. 紙やすり240番
番手を240に変え、裏面以外を45分磨きました。※裏面は、表面・サイドが「ある程度」終わってから仕上げていく予定です。
<<#240>>
マジックで面全体を黒く塗る→それらが完全に消えるまで磨く→音や感触を頼りに引っ掛かりが無くなるまで磨く、だいたいこれで45分です。
若干の違いはありますが(※240番→面全体を黒く塗った、120番→ピンポイントで印を付けた)、磨き方・考え方などは基本的に120番の時と同じです。
また、これを知っていれば「仕上がりが絶対的に良くなる秘密のテクニック等」は無く、焦らずひとつひとつの作業を丁寧に、時間を掛けて行うことで「より良いルース」に仕上がると言われています。
なお、ここまでの作業を砥石で行い、紙やすりは320番から使い始める等、人それぞれ色々な手磨き研磨の方法があります。
※ここまでに費やした時間、計3時間30分(210分)
3. 紙やすり400番
次は400で30分、石に「つや」が出始め、水に濡らさなくても遊色の具合を確認できるようになってました。実際の写真(※水に濡らさずに撮影した)をご覧ください。
<<#400>>
まだまだ原石要素は残っているものの、サイド部分・サイドと表面の境目部分も整えられ、見方によってはだいぶルースぽくなってきたと思いませんか?
※ここまでに費やした時間、計4時間00分(240分)
4. 紙やすり600番
次は番手を600に変え、裏面以外を60分磨きました。120番の時とは大きく異なり、磨いている時に聞こえてくる音のボリューム・指の感じ具合が小さいものなってきました。
そのため、今までの方法だけで「次の番手に移るタイミング」を判断するのは少し心細いですので、ルーペ(100均で購入)を使い、紙やすりで付けたキズの状態を確認しながら「そのタイミング」を判断していきます。
百聞は一見に如かず、機会があれば、皆さんもぜひ見てみてください。面いっぱいに細かい引っかきキズ(スクラッチ)を確認出来るはずです。
私は、これらのキズの深さや大きさが均一なもの(使っている番手でつけたキズ)になっているかどうかを確認し、全体的に同じ程度のものになっていれば次の番手へと進むようにしています。
すなわち、セオリー通りの磨き方、前の番手で付けたキズを今使っている番手のキズに置き換えた後で、次の番手へと進んでいるのです。
なお、この置き換えが完璧に近ければ近いほど、次の番手での作業は楽になります。
<<#600>>
※ここまでに費やした時間、計5時間00分(300分)
5. 紙やすり800番
800で裏面以外を120分磨きました。本来なら30分で終わるところ、仲間外れの引っかきキズ(※ルーペでじっくり見て分かる)が気になってしまい、その対応に1時間半プラスで費やしました。
<<#800>>
余談ですが、セオリー通りに磨き直していれば(※適した番手に戻って磨き直してれば)20分ぐらいのプラスで済んだと思うのですが、
不相応な番手の紙やすりを使うことで、「不相応な番手とキズとの関係性」を知りたくなってしまうのですから、何と言うか困った性格です。
せっかくですので、「超高倍率で撮影した “磨き直している最中の面の様子”(800番で磨き直して110分経過)」を載せておきます。
<<#800 参考画像>>
※キズを見分けにくい時は、決まった方向のみに磨くことで(決まった方向のみにキズを付けることで)見分け易くなります。
※ここまでに費やした時間、計7時間00分(420分)
6. 紙やすり120番(裏面)
さて、表面に関しては「ある程度のところ」まできましたので、このタイミングで裏面と本格的に向き合うことにしました。
<<#120 裏面>>
そこそこ時間を(120分)掛けた割には、でこぼこ・砂が残ってしまっています。(※水に濡らして撮影)
しかし、磨き続けて石が割れてしまうことを恐れ(※無事に記事を書き上げたい)、画像のような仕上がりで妥協することを選びました。
また、時間的な都合で裏面の作業はこれで終わりにしますが、磨き込めば「でこぼこ・砂問題」は(完璧とは言わないまでも)改善され、番手を変えて磨けば「つや」は出てきます。
※ここまでに費やした時間、計9時間00分(540分)
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7. 紙やすり1000番~2000番
いよいよ後半戦、ここからはポイントを押さえつつ、内容をぐっと要約してお伝えしていきたいと思います。
ルーペでキズの状態を確認しながら、1000番で60分・1200番で25分・1500番で45分・2000番で20分、計150分磨きました。
似たような写真を載せても退屈ですので、代わりに「超高倍率で撮影したキズの比較画像“(1000番と2000番終了時点)を載せておきます。
<<超高倍率 比較画像>>
※ここまでに費やした時間、計11時間30分(690分)
※研磨剤を使っての最終仕上げをお考えの方は、紙やすり3000番は無視して、安定して均一性の高いキズをつけることができる2000番で作業を切り上げるのも選択肢のひとつです。
8. 研磨に関するあれこれ
次の番手で紙やすりの研磨もいよいよラスト、その最後の番手3000番に進む前に、「皆さまが思っているであろう疑問に対する私なりの答え」をQ&A形式にてまとめてみました。
Q1. 2000番で磨いている最中にルーペで面の状態を確認すると、明らかに2000番のキズでは無いキズが面に数本入っています。どうすればよいですか?
A1. 砂ぼこり等もキズの原因となります。紙やすりを水で洗う、または新しいものに変える。研磨に使用する水も新しいものに変え、面をしっかりと洗浄してから再度磨いてみてください。
Q2. 紙やすり・使用する水を新しいものに変え、面もしっかりと洗ってから磨きました。それでも(ルーペで見ると)明らかに番手に見合わない不相応なキズが現れています。なぜですか?
A2. 磨き終わった後、石を水でゆすいでいると思いますが、その水を何で拭き取っていますか?ティッシュ等は使わず、メガネふきシートやセーム革で拭き取ってみてください。
Q3. 紙やすり・使用する水・面の洗浄・拭き取りもしっかりと行いましたが、それでも状況は変わりません。どうすればよいですか?
A3. 使っている紙やすり(耐水紙)の品質が原因かもしれません。違うメーカーさんのものを試してみてください。
Q4. それはなぜですか?
A4. 付着されている「研磨剤(粒)の大きさ、その均一性に問題があるのでは?」と考えたからです。
品質を問わず、(接着されている)研磨剤の粒の大きさにばらつきがある、これは仕方のないことなのですが、
低品質のものは粒の誤差範囲(大小差)がより大きく、高品質の2000番には付着していない大きさの粒が混じっており、粒の大きさの均一性、この点に乏しさを感じてしまいます。
そして、この本来あるべきではない(あってほしくない)大きさを持つ研磨剤の粒が、「不相応な引っかきキズを作る」という大きなイタズラをしているのではないでしょうか。
Q5. A1~A4のこと、全て試しましたが改善されません。どうすればよいですか?
A5. 磨き方を変えてみてください。力を入れ過ぎず、紙やすりの上で「軽く・柔らかく・なぞるように」石を磨いてみてください。
A1~A5に記載したことをきちんと行うことで、2000番までなら完璧なキズを付けることができるはずです。
9. 紙やすり3000番
それでは最後、3000番で40分磨きました。ルーペで見て、2000番で付けたキズが3000番で付けたものになっていれば、紙やすりを使った石の研磨はこれで終了(完成)となります。
<<#3000>>
余談ですが、紙やすり3000番において、キズの均一性に完璧を求めることは非常に難しく、自分の満足する結果に一歩届かない時があります。
その時は結果に妥協することなく、最終仕上げに挑戦してみてはいかかがでしょうか。
あっ、ボルダーオパールも販売しています⇒ ボルダーオパール販売専門店|OPAL D TAKI (opal-downunder-taki.com)
※費やした時間、計12時間10分(730分)
以上、「オパールの原石の磨き方は?手磨きでオパールを研磨してみた!」でした。完
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記事公開日 2020年12月10日, 最終更新日 2022年10月22日